仕事から帰ったあと、インターフォン(モニターはなくて受話器だけのタイプ)が鳴って出たら、呂律の回らない男だった。
普段配達の予定ない限り出ないのにうっかり出てしまった。
しかも何を言ってるかわからなくて

「お間違いじゃないですか!?」

と答えてしまった。
そしてそのまま切って無視した。
幸いオートロックのマンションだったし。

その数日後、平日休みの日の午後インターフォンが鳴った。
鳴り続けるから無言で出てみるとまた呂律の回らない男だった。

気持ち悪くてまた切って無視した。
そのあと5回くらいコールが鳴り切るまで鳴らされた。
怖くなった。

でも、それから30分置きに鳴らしにきた。
毎回コール鳴り切るまでを5回。

近所の徘徊老人か?と3回目の時に階段の踊り場からオートロックの自動ドアを隠れてスマホで録画した。
老人が映ってるかと思ってたらアラフォーくらいの男が映ってた。

見覚えはない。
見た目も普通。



めちゃくちゃ怖くなったけど、どこに帰ってるのかマンションの玄関が見える通路から覗いてみた。
マンションの裏に帰って行った。
ベランダに走った。
マンションの裏の家の男だった。
全く交流ない家。

次に来た時に思い切って110番した。
お巡りさん2人来てくれて

「裏の家の人です」

と言ってベランダに案内。
男はちょうど庭でタバコ吸ってた。
私の録画した動画と見比べて確認。

「今から話してくるね」

とお巡りさん達は男のもとへ。
しばらくしてお巡りさんから電話。

「いやー、ちょっと精神不安定な人だったねー。『なんでピンポン鳴らすの?』って聞いたら、おたくのご主人がね、頭に話しかけて来るんだって。宝クジの当たり番号教えてあげるって笑」

『はぁ??』だった。
夫もその男と面識ないはずだし、何か恨みとか買ってるのか?と思ってたから。

そんなことが原因だったら解決できないし。
どうも毎日鳴らしに来てたらしいし。
取り乱して

「どうすればいいんですか!?」

って聞いたら、お巡りさんが

「大丈夫だよ、こういう人よくいるし。『迷惑してるからもうしないでね』って言ったら、『わかった』ってちゃんと言ったし。今後また何かあったら電話してね」

だって。
よくいるし大丈夫って…

そりゃあなた達は対処術持ってるから大丈夫だろうけどさと絶望した。
でも不安だったけどそのあと何もなかった。