友人は東京の大学に合格して、アパートで一人暮らしすることになりました。
引越しを終えた深夜、部屋でテレビを見ていると、壁越しからボソボソと声が聞こえたそうです。
テレビの音量を絞って、何が聞こえているのかと耳を澄まして聞いてみると

「仕方なかった仕方なかった…」

泣いている女性の声で繰り返し聞こえてきたそうです。

『隣の部屋の女かな?電話で男と別れ話かなんかしてるんだな…?』

と思ったそうです。
その日はそのまま眠りました。




次の日です。
深夜、雑誌を読んでいると、隣の部屋からまた女のボソボソつぶやく声が聞こえてきます。

「仕方なかった仕方なかった…」

初日は引越しで疲れていた事もあり、気にせずに居られたのですが、二日続くと鬱陶しく感じ、文句でも言いに行ってやろうと思ったそうです。

しかし、引越しの挨拶もまだ行っていないのに、いきなり怒鳴り込むのも大人気ないと考えた友人は翌日、大家に苦情を言いに行きました。
大家から返ってきた言葉は意外なものでした。

「隣の部屋は誰も住んでませんよ…」

その日の深夜…
何故か女のボソボソ声は消え、友人は

『聞き間違えか何かだったのかな…?』

と思ったそうです。
コンビニに夜食の買出しに出掛けようと廊下に出ました。

隣の部屋を見ると、昨日まで無かった盛り塩がドアの前に供えられているのです。
怖くなった友人はそのまま別の友人のアパートへ逃げ、結局、その部屋へはほとんど戻ることが無くなり、三ヶ月ほどで部屋を引き払って、別の友人宅で居候生活をすることになりました。

「仕方なかった」

って、何のことだか今もわからないそうです。