父は凄い母Loveの人だったのだけれど、わたしが高校生の時、母が事故死した。
父の落胆はひどいもので、葬儀の時にずっと泣きっぱなしで、葬儀が終わってしばらくして、仕事も辞めてしまい、毎日お仏壇の前でぼーっと過ごす、鬱みたいな人になってしまった(実際そうだったかも?)。

生命保険と、母の生前はわりと稼いでたので、家事はわたしがやれるしで当面の心配はなかった。
けれど、いつまでもクヨクヨしてる父を見ていて、これはだめだと、友だちから子犬をもらってきて、育てさせる事にした。

「子犬可愛いね」

ってニコニコしてる父を見て、ちょっとだけ安心したのだけれど、失敗だった。
朝昼晩の3回の散歩にはいくものの、それ以外は、わんこと一緒に仏壇の前でぼーっと過ごす日々になっただけだった。
仏壇組が2人になっただけやん…(わんこは呼べば来るけど)

ここでわたしも諦めた。
もう一生そうしてなさい。




それから5年が経って、わたしも就職した。
家事は仏壇組がやるようになっていて、これもアーリーリタイアの一種なのかも?

日がな仏壇の前にいる2人を受け入れつつあった。
ある晩御飯を食べてると父が言った。

「ぼく結婚してもいいかな?」

本気でご飯粒が鼻から飛び出た。

「えっと…誰と?」
「友達かな?」

詳しく聞くと、わんこの散歩をしている際に知り合って、散歩とデートを兼ねていたらしい。
継母になる人が家に来る。

うおー外車だ。お金持ちだ!
目がキリッとしてる、母とは違うタイプの美人さん!
名刺に常務って書いてあった、美容系の会社を立ち上げた人らしい。

というか継母の経歴なんてどうでもよかった。
母が亡くなって8年、父(+わんこ)はようやく仏壇から吹っ切れたんだ!

と思ったのもつかの間で、継母は会社を辞め、父と犬の散歩、家事をする以外は仏壇の前にいるようになった。
吹っ切れるどころか、仏壇組が増えただけだった…。

母が亡くなって今日で11年。
仏壇の前で父は母の思い出話をして、わんこと継母はニコニコして聞いています。
お母さん、寂しくなくて、良かったね…?