今から7年前の夏休みの話。
当時俺は高校一年生で夏休みは特にやる事もないから毎日家でゴロゴロしていた。
今思えばあんなのんびりした時間なんてこの先こないんだろうな、とか思うとなんだか寂しくなるな。

まぁ話を本題に戻すが、アイスを買いに行こうと着替えを取りにサンルームに行ったんだが、着替えを探しているとカーテン越しに何やら人影が見えた。

『ガスの点検でもしてるのかな?』

と思いカーテンを開けると何故か窓が開いていて目の前に汚らしいおっさんが立っていた。
俺は思わず、

「あっ!」

と声を漏らしてしまった。
相手も驚いた顔をしてこっちを見ていた。



俺は直感でヤバイと感じたのか、次の瞬間にはサンルームから飛び降りながらおっさんに向かって殴りかかっていた。
俺は喧嘩で負けた事がない(した事がないから)。

そんな俺の強烈なジャンピングストレートパンチがおっさんを襲ったのだが、おっさんはヒラリと交わし勢い余った俺はそのまま転んでしまった。

『ヤバイ!バックを取られる!』

俺はすぐさま振り返るとおっさんは俺を見下ろしニヤッと微笑み走り去っていった。
俺は一気に力が抜けてしまい、おっさんを追いかける事すら出来ず、その場でしばらく呼吸を整えてから母親に電話し、警察に来てもらった。

その日から何日が過ぎてもあのおっさんと出会った瞬間の事、ニヤッと見下ろされた事を思い出すと震えが止まらなかった。

その秋、俺は帰宅部からラグビー部に転部した。
おっさんを捕まえるには体を鍛えなければならないという謎の使命感を感じたからだ。
それから俺はおっさんの呪縛を解き放つため毎日トレーニングに打ち込み名実共に負けた事がない男へとなりつつあった。

しかし、あの日以来アノおっさんと出会う事は無かった。
今思い返せば、おっさんが武器を所持していたら際どい勝負になっていたと思う。