当時、俺は受験生だった。
やりたいことを見つけられずにダラダラと通っていた大学をやめて、芸術系の大学を受験しようと決意したんだ。

受験のために実家に戻ることになったんだけど、借りていたワンルームは解約しなかった。
志望校は家の近くにあったし、色々とカネがかかりそうだったから。

約半年間家を開けることになるので、田舎者の俺に良くしてくれていた、近所の不動産屋にカギを預けたんだ。
なくしたら困るからね。
受験はあまり緊迫したものではく、あっさりと合格した。



俺は愛しの我がワンルームのカギを不動産屋に返してもらって、ワンルームへ向かった。
ドアを開けると懐かしいにおいがする。
まさしく俺の部屋のにおいだった。

荷物を床に置き、水を飲んで部屋を見渡すと、違和感があった。
何度か地震があったみたいだから、モノの位置が多少変わっていてもおかしくなかったんだけど、一番気になったのはユニットバスの床だ。
かすかに水滴が残っている。

俺は常に冷静な男だ。
その場で頭をフル回転させ、俺の不在時にこの部屋で何があったのかを考えた。

でも、考えるまでもなかったんだよね。
俺はダッシュで交番へ行き、事情を説明した。
取り調べで判明したこと。

不動産屋のだめ息子が俺の愛しのワンルームをヤリ部屋にしていたということだった。
俺が帰ってきた数時間前にも女を連れ込んだそうだ。
俺が懐かしんだにおい…orz