トラックの仕事していた時の話。
次の日の荷物が夜投げと言って、普通は朝降ろす荷物を夜中でも受けてくれる荷物だったので、夜中に降ろせば次の日時間にゆとりが出来ると思い、俺は夜中にそこに現着した。

そこは荷受けと降ろし場所が別々で、倉庫は無人。
サインしとくから勝手に降ろしておいてくれとの事だった。

俺は、トラックを倉庫に移動させ、荷物を降ろし始めた。
さすがに夜中で無人という状況は少し怖いので、ラジオをフルボリュームにして紛らわしながら仕事をしていた。
10分ぐらい経った時、

「ザクッザクッ」

と砂利の道を誰かこっちに来る音が聞こえた。
ラジオの音量からして、足音が聞こえるとしたら、すぐそこまで来ている。

俺は荷受けの人が来たんだろうと思っていたが、いつまで経っても中に入って来ない。
いやーな感じに思った俺は、猛スピードですべての荷物を降ろし終え、電動シャッターが開く前にトラックに乗り込み、いつでも発進出来るダッシュ態勢をとった。

「キィーキキィーー」

ゆっくりシャッターが開く。
早く開けやーともどかしいが、電動なので仕方がない。

50センチぐらい上がった時気付いた。
人が居るのだ。
白い作業着の足の部分が見える。

「…荷受けの親父と制服違うな…」

と思いながら見ている瞬間も、シャッターはジワリジワリ開いてゆく。



やがて顔が見えた。
50代のオヤジだ。

こっちをジッと見て微動だにしない。
俺は窓から身を乗り出し

「は?なんすか?」

と、呼び掛けた。
しかしオヤジは無言。
気持ち悪くなる前に、イラついた俺は

「用ねぇならどけや。そこに居たら出れねぇだろが。」

と、一喝した。
するとオヤジはニヤニヤしながらこっちに歩いて来た。

身の危険を感じるって、こういう時かぁなどど思いつつ、もしもの反撃の為に必殺の木刀を握り締めた。
オヤジがドアのすぐ横まで来た。
まだニヤニヤしている。

ドアを勢いよく開け、オヤジにヒットさせつつ足を掛け、オヤジを倒した。
木刀で顔を押しつけながら

「なんだ?てめぇはよ?気持ちわりぃんだよっ」

と、凄むもオヤジは相変わらずニヤニヤしている。
ニヤニヤしながら鼻息を荒くさせるオヤジに恐怖心が沸いてきた俺は、オヤジを5~6メートルトラックから引きずり離し、ダッシュでトラックに乗り込み発進させた。

ミラーを見ると、オヤジがゆっくり立ち上がろうとしているのが見えた。
あんな気持ち悪い奴が徘徊してるなら夜中に来なきゃ良かったと後悔しつつ、荷受け所へ伝票をもらいに行った。

そこで、荷受けの人に通報してもらおうと話したが、どうやらそのオヤジはたまに徘徊して来る有名人で、

「人に危害は加えないし、許してやってくれ」

と流された。
頭に来てたが、それじゃしょうがないなと、礼をしてトラックに戻り走り出した。

少し走った所で、ミラーに何か映ったので見ると後ろの箱の上にさっきのオヤジが居た。
死ぬ程ビビッたが、急ブレーキを踏んで殺しても嫌なので、静かに停止させ、オヤジを降ろし、ボッコボコにしてその場を去った。