中学校の修学旅行のときに起きた話。
まず、前提として父はかなりのミリオタ。
そして俺もその影響でミリオタ。

で、父はよく変な遊びをしてくる。
例えば雷撃機が飛んできたごっこなんかは、父が手を飛行機に見立ててこっちに向かってくるので、俺はそれを対空機関銃で撃ち落さなくちゃいけない。
さすがに小学校の高学年ぐらいになると馬鹿馬鹿しく思えてくるんだが、俺がそれに乗ってあげないとすごいしょんぼりするんで内心

『コイツガキだなぁ』

なんて思いながら付き合ってた。
で、俺が中学のときの修学旅行に出発するとき、両親が見送りに来てくれたんだが、出発するバスに乗ってふと外を見ると父と目が合い、ビシッときれいな敬礼を決めてくれた(しかもバスに乗る俺に配慮してか海軍式だった、いつもは陸軍式なのに)。

馬鹿らしいとは思ったけど、父を数日間しょんぼりさせるのも可哀想だったんで俺も敬礼を返してそのまま出発。
バスの中で

「あの敬礼してたのだれ?」

って話になり、親しい友達は

「さすが俺君のお父さんだな」

そこまで親しくない友達は

「あぁ、やっぱり」

話したことも無いような相手も

「面白いお父さんだね」

なんて話をしながら旅行開始。
で、三泊四日の旅行を終えて帰ってきたんだが、俺だけ両親が迎えに来てくれなかった。

『予定では母が迎えに来てくれるはずなんだがなぁ…』

と思っていたら一番の親友のAの母が駆け寄ってきてAにお帰りを言った後、俺に話しかけてきた。

「俺君もお帰り、これからおばさんちに遊びに来なさい」

俺もAも結構疲れてたんで

「疲れてるんでいいです」

とか、

「明日でいいよ」

といったが、A母は強い口調で

「いいから来なさい、俺君の好きなお菓子も用意してるから」

と言ったんで、仕方なくお邪魔することに。
なぜか

「ここは右に」
「ここ曲がりましょ」

と無駄に遠回りして、なぜかクラスメートの母親に何度か会っていつもの三倍ぐらい時間をかけてAの家に到着。
なんか挙動不審にあたりをきょろきょろ見渡すA母に促されるままA宅にお邪魔した。



Aの部屋でAと一緒にA母の用意したお菓子を食べたりゲームしてたら門限が近づいたんで、A母にお邪魔しましたと言って帰ろうとしたら、なぜかA母が俺を家まで送ってくれた。(ちなみにA宅と自宅は直線100メートルほど、幼稚園の頃から一人で行き来してた)
両親がA母に頭を下げお礼をいい、A母は

「お互い様だから」

といって帰宅。
そのあと両親から聞いた話がぶっ飛んでた。

数ヵ月後、親が何があったか話してくれたんだが、修学旅行の見送りに来た父と俺が敬礼しあうのを見た別クラスの母(一応B母としとく)が学校に

「軍国主義者が通っているなんて恐い。戦争主義者の思考が子供達を毒する前に学校は責任を持ってそいつを退学(公立中学なのに)させろ」

と学校に言い、周りの保護者達にも賛同を求めて居たんだと。
学校側や周りの保護者達は諌めようとしたんだが、B母は

「子供を守るために俺と俺父を学校から追い出してやる」

と周りの保護者に言いふらしており、その情報が同じクラスの保護者(A母とは別)→A母→俺両親と伝わり、顔を見られている俺両親は修学旅行の出迎えを控え、代わりにA母が迎えに来て、俺にB母が突っかからないように遠回りしたり同級生の母親が帰宅ルート上で警戒してくれていたのだとか。

それから一ヶ月は毎朝通学路上で同級生の母に一人は出会ってたのもB母が俺に突っかかるのを防止するためで、なぜか帰る際Aが俺を待っていてくれたりするのもそれが原因だった。

結局B母は俺の顔までは覚えていなかったようで、三ヵ月後に

「こんな軍国主義者だらけの学校に子供を通わせていられない」

と旦那に無理言って引越し+転校してしまったんだとか。
そのとき俺はいくらなんでも大げさだろと思ったんだが、A母曰く、B母は闇討ちとかしかねない勢いだったらしい。