その日は早くから女をゲットし、いい雰囲気に持って行き、後はメインのポイントに行くだけだったんだが、場所を探してる途中、あるすじ道に気づいた。

この道の入り口にはコーンが置かれてたんだ。
おそらく、マナーのなってないやつらがHの終った後ティッシュやゴミなんか捨てていくから、置いてあるのだろう。

コーンとは、よく工事現場なんかで『ここから先は入っちゃ駄目』みたいな、赤色に白いテープが巻かれた、三角錐形をしたプラスチックの置物だ。
これで通じるかな。

俺はこのコーンを見たときに、今日はこの道の奥で女とやろうと即決。
すぐに自動車から降りてコーンを端にどかし、奥へと入っていった。

もち、またコーンも戻して、他の自動車はは入れないようにしたよ。
何故ここにしたかというと、今までによくこの近辺のすじ道に停めてHしてるけど、ここは知ってる人は知ってるポイントだったんから、やってる時にたまに他の自動車が来たり、こっちが今日のポイントと思って奥へ行くと先客がいたりと、結構邪魔もあった。

だけどここならコーンが堤防になってくれるから、思う存分楽しめると思ったんだな。
この旧道から伸びる道は大体畑に通じてて、先は行き止まりになってる。
自動車を少し走らせて停め、俺は女に言った。

「外でしようよ」

と。
その日は他に邪魔は入らないと思ったんで言えたんだけど、笑いたければ笑えばいい。

前々からそういう考えてたんで、下に敷く毛布とキャンプシート、蚊取り線香は用意済み。
女には最近キャンプがあったからとか、適当なこと言ってごまかしたけど。

そして、女としばらくちちくりあってると、近くで自動車の音がするんだ。
マジ焦ったよ。
でも、こっちにくるようでもないし、でも音は近い。

様子を伺ってると、どうやらすぐ下の方へ自動車は来てるみたい。
畑をはさんで向こうにも自動車が停まった。

最初、この事を俺は気にしてなかった。
相手もどうせH目的でこっちに来てるんだし、まぁ、さすがに声は外だと響いて聞こえるんで、今日は車内でするかと、考えたことと言えばそれくらい。

それで道具を片付けてると、何か下の様子が変なんだ。
犬の鳴き声、数人の気配、声。
畑をはさんでるとはいえ、ここは小高い山になってて、下の様子を月明かりで見る事が出来た。

後から分かったんだが、男2人、女2人の4人の男女。
こいつらは家族。

女と男の1人づつが、犬の首輪に紐を巻き手に持ってる。
残りの2人は電灯と棒を持っている。

犬は首輪に慣れてないみたいなんだが、2人はそれにかまわず犬を引っ張って行く。
意味が分からんかった。
が、凄く異様な風景だった。



こっちが先に来てたんで、相手は気づいてないんだろう。
全くこっちには気づいてる様子がない。

そいつらは少し先まで犬を引っ張って行った。
角度的にこっちからは見えないし、離れてしまった。
俺は女に言った。

「あいつら何者か、ちょっと見に行かない?」

結局、女は嫌がってたんだけどさ、

「このまま帰ったらずっと後悔する」

とか、

「一生に一回はこういう経験もしたほうがいい」

とか、

「少し確認したらすぐ帰るから」

とか言って、強引に説き伏せたんだけど、今思えば、やめりゃ良かったよ。
県名は言えんが、これである程度は分かるかも。

ここのまわりはサトウキビ畑だったんで、屈んで歩けばかなり身を隠せるんだよ。
女と一緒に屈んで歩いていくと、マジ最悪の光景が。
思い出すと、今でも涙出てくるわ。

犬の首輪に2つ付いてる紐を2人で引っ張るだろ。
犬は動けないわな。

で、残りの2人が犬の頭を殴る。
犬の声はそんなに聞こえなかった。

そして、すでに命はないはずなのに痙攣してる犬の首輪についてる紐を持ち、木に吊るす。
ナイフで体を切って血を出す。

うわー、やべーよこいつら。
予想してなかったもんを見たときって、身体が動かない。
心臓もばくばくいってるのが、相手に聞こえるんじゃないかとか、馬鹿なことも考えてしまう。
もう、引き返すとかではなく、こいつらがいなくなるのを待たないと動けなかった。

なのにっ、女がもどしやがったんだよ。
静かな夜に人間の出す音って物凄く目立つ。
しかもずっと

「げーっ」

とか隣でやってるの。

「誰か?」

当然相手にも聞こえてるんで、俺と女は男2人にあっけなく見つかってしまう。
本当に怖い目にあったことがある人いるか?

俺が弱かっただけかもしれんが、身体が震えるの。
ガタガタガタガタって。
膝にも力入らないし。

「お前ら、どこの奴らだ!」

年配のおじさんに顔に電灯を当てられながら聞かれた。
こんな時って、正直言って今までは俺、口は達者な方だと思ってたのに、何にも浮かんでこない。

「お前らは先に家に行ってろ」

おじさんは家族にそう言うと、俺にこう言った。

「おじさんの家近いし、ちょっと送ってくれんか」

俺に問うのでは無く、強制的な口調。
ここで強引にでも断っておけば、まだ間に合ったのかも知れない。
が、俺は彼を家へと送ってしまう。

車の中で女はぐったりして動かない。
というより、ショックなもん見たせいか正常な状態ではない。

彼は俺に色々聞いてきた。
印象に残ってるのが、

「お前は何処に住んでるのか」

という質問。
とにかくしつこくこのことを先に聞いてきた。
俺はとりあえずも、本当とは全然地名を言ったのだが、彼は俺が地元じゃないということで、かなり安心したようだった。

彼の家は、そこから10分くらいのところにあるハイツ内の大きな家だった。
俺はとにかく帰りたかった。

だが、彼は俺に会わせたい人がいると言う。
彼と一言話してから帰ってくれとしつこく言う。
彼女に、精神安定剤もあるから飲んでけと言う。

俺はそのまま言葉に流されてしまう。
居間に女と通されて、

「しばらく待つように」

と言われるが、今度は彼の息子が色々しつこく聞いてくる。

『俺と合わせたい人ってこの息子のことか?もう、頼むから俺を帰してくれよ。』

しばらくして彼が戻ってきた。
そして喋り始めた。

あそこは彼の畑で、彼は議員だということ。
たまに犬を食べてるということ、など。

食べてる?食べてるのか。
実を言うと、俺はこの言葉を聞いて安心したよ。
一応理由になってるし。
そりゃ人には見られたくないわな。
このことがばれると選挙にも響くのかも知れんし。

話をしてる時、玄関のチャイムが鳴った。
来客か。
彼は

「君に合わせたい人が来たようだ」

と言って玄関へと向かい、一人の体格の良いおじさんを連れてきた。

「○○○察署長の○○です」

そう言いながらお辞儀をしてきたが、目が笑ってないし。
署長はかなりの人だった。

「人って簡単に捕まえることが出来る。」

みたいな話をしてくる。
というか、そういう話しかしてなかった気がする。

多分、今日の事は口外するなということか。
女は薬をもらい、みんなが見てるのでおとなしくそれを飲み、隣でずっとぼーっとしてる。

しばらくして奥さんがどんぶりを手に持ってきた。

「出来たよー」

どんぶりには肉片が浮かんでる。

『肉汁ですか?何の?』

そのどんぶりは俺の前に置かれた。

「せっかくだから食べて行きなさい」

と彼が言った。
『食いたくねーし』と言いたいが、みんな俺を黙って見てる。

もう食うしかない。
女は気分が悪いので遠慮するんだと。

『おいおい』

と思いつつも、こうなったのは俺の責任だし…。
感想。

犬汁って臭い。
獣臭い。
マジで臭い。
臭い臭い臭い。

あー、気分悪くなってきた。
俺の話はこれで終り。
では無い。

その後、女を送り、部屋に戻ってきた俺の留守電にメッセージが。
一言

「○○だが、今日は、大変だったね。君は○○町に住んでたのか」

俺は免許証なんて見せてないし、身分が分かるようなものは見せてない…。