二軒隣のM田さんの話。
M田さんは父親(70代)・母親(60後半くらい)・ニート長男(40代)・障害者の妹(30代?)という家族構成で、父親の年金と、妹の障害者手当+施設の作業賃金で暮らしていた。
町内会長さんがしゅっちゅう顔を出して世話してる家だった。

どう考えてもニート長男がガンなのだが、この長男は小中学生の頃すごく出来が良くて『末は学者』とか言われていた。
その頃の栄光が両親は忘れられず、

「やる気さえ出してくれれば立派な息子になるはずだ」

と、ズルズル40過ぎまで甘やかしてしまったらしい。
この長男は犬の散歩の時くらいしか外に出ないのだが、町内の住民と行き合うと唾を吐いてきたり暴言をかましてきたりする。
俺はこの長男より背が高くなってからは何も言われなくなったが、昔は犬をけしかけられたり、

「カッターナイフを出せ。そのカッターでお前を切りつけても、おまえのモノだから俺は罪にならないドウタラコウタラ~」

とわけのわからん理屈を言われ絡まれたりしていた。




当然苦情はM田さん家に行くわけだが、両親はやはり

「いつかやる気さえ~」

でノラクラかわしてニート長男は相変わらずのさばっていた。

その長男が去年ついに捨てられた。
長男を残してM田さん両親と妹が引っ越してしまい、しばらくニート長男だけが住んでいたが、ある日解体業者が来て家を壊してしまい、長男はどこへ行ったのか行方知れずとなった。

くわしい事情をずっと知らなかったのだが、先日町内会長からいきさつを聞いた。
ニート長男がある日夕食の席で

「日本は年寄りと女を甘やかし過ぎだ。姥捨て山と売春宿を復活させろ」

と大演説したらしい。
M田両親は

「ああそうか、わしら年寄(両親)と女(妹)はコイツにとっては本当にいらん存在なんだな」

と目が覚めた思いがしたそうで、そっからサクサク動いて引っ越しに至ったんだそうだ。
M田家跡地は今更地で、売れる気配はない。

長男が今なにしてるのかもわからない。
あんだけ長年ダラダラズルズル甘やかしてきたのに、些細なきっかけで捨てられるもんだなとチト衝撃だった。