三日後、驚いたことに彼の私物を業者が引き取りに来た。
なんでも屋みたいな業者で、彼の印鑑が押された依頼書を提示して、彼のロッカーとデスク周りを整理していった。
何の連絡もないまま業者は訪れたので、職場の誰もが鼻白んでいた。
ツナギを着た二人組みだったが、二人とも顔色が真っ白だったのを見て、オレは何だかゾッとした。

オレはそれ以来、彼と関わる事はなかったんだが、彼と同期で入社し、仲がよかった二人の男が、休みの日の昼間に彼の部屋へ行ったそうだ。
それによると、電話で

「別に来てもいいよ」

と言われたのに、行って見るとドアに鍵が掛かっており、いくら呼んでも誰も出て来なかったそうだ。
彼の部屋は一階で、そのアパートの敷地に面した窓を開ければ、そのまま外に出られる(ベランダに出る窓と同じ)作りなんだけど、その窓にはシャッターが降りていた。



携帯から彼の家電に連絡すると、部屋の中で着信音が響いているのが何となく聞こえた。
しかし、誰も出ず留守電になったので、

「おーい」
「起きてるかあ」

と大きい声で言ってみても無反応だった。
それで二人は近所でお茶して、夜にまた行ってみると、窓に灯りがあった。

でもドア・チャイムを鳴らしても、電話をかけても相変わらず無反応。
しかし、明らかに部屋の中は人の気配がしていて、これが怖いことに複数の人がいる感じだったそうだ。

二人は怖いのもあってそのまま帰ってしまったんだが、深夜にそのうち一人の携帯に彼からメールがあった。

『また海外に行きます。帰ったら会おう』

それ以来、誰も彼と連絡をとっていない。
オレは係長に

「彼の実家にもう一度電話して、様子さぐってみましょうよ」

と飲みにいくたび言ってみる。
係長は全くその案には乗り気ではない。