実家は田舎ってこともあって土地が安く、桜の木が8本あるってことが自慢の広い庭があるんだ。
その桜は植えられてから結構年月が経過していてそろそろ寿命なのかなと思いつつ、世話だけは続けてきた。

でも、毎年暖かくなると虫は湧いて出て来るし、桜がちった後は庭掃除が大変だった。
桜が咲かない時期は園芸屋さんにときどき専門的な手入れをお願いしたりと何かとお金と手間がかかっていた。

そういうこともあって、知り合いに伐採と廃棄をお願いした。
近所の人や、向かいが飲食店なこともあって店が連休な時に時間を合わせてもらって、作業自体は案外すんなりと終わった。

庭が寂しくなるけど、気も楽になった、さて桜の代わりに何か植えようかと考えていた。
そして伐採して数日後、近所の人とその飲食店の人が訪ねてきた。




話を聞くと、なんで断りもなく桜を伐採したのかとか、あの桜は戦前からある歴史あるもので、言ってくれたら援助したのにとかいう話だった。

なーんで自宅の庭の自分の桜を伐採しただけでこんなに文句を言われるのか、しかもあの桜はじいさんが結婚したときに植えたものだから樹齢は50〜60年くらいだぞと思いつつ、手間がかかることと寿命だったってことを説明した。
それで近所の人は引き下がってくれたんだけど、飲食店の人は

「うちの店は借景としてあの桜が名物になっていて、このままでは売上に影響が出るだとか、月末には結婚式も控えているからキャンセル料を払って欲しい」

と言われた。
図々しくて呆れた。

「いままでうちの庭の桜で金儲けしつつ、いざ桜がなくなったからと言って一銭も払ってないあんたには何も言う権利はない。それからは借景とは本来自宅の庭や、山などを窓景の一部とすることで、他人の庭をジロジロ見せるものではない」

と言って追い払った。
そのままその店は半年後に閉店して関係者ともかかわらなかったからよかったものの、ここまで図々しくて自分本位な人には出会ったことがない。