私は困ってる他人がいても見てみぬふりしてた。
小柄なうえ足の関節が悪いから、何かあった時に走って逃げたりできない。
だから知らない人は困ってても話しかけたりしなかったし、それが親の教えでもあった。

でも私自身がよく知らない人から助けを求められる。
友達と一緒にいても声をかけられるのは私、それも男性が多い。
私は外はもちろん、大学内でも何か助けを求められても

「知りません」
「わかりません」
「他をあたってください」

とすぐにつっぱねてた。
でも周りの子たちから『冷たい』とか『酷い』と言われた、すっごい言われた。

「善意は誰かから強要されるものじゃなくて、やりたい人がするものだよ」

と言ったら、

「やらない善よりやる偽善」

といつも反論された。
友達が離れたりはしなかったけど、

「一度の人助けで何かあったりしないよ」

と言われ続けたし、たまにボランティアに強制参加させられたりした。

友達と大学からの帰り、最寄り駅に向かった時に大荷物を抱えて足を骨折した人が困ってた。
そして案の定通りかかった私に声をかけた。
私は即座に

「電車の時間があるので」

と断った。
その時本当に電車の時間が差し迫っていたし、私は片道一時間半かかるから電車の乗り合わせが悪いと乗り換えで30分待つこともあった。
でも友達はそんなことを知らないので

「終電じゃあるまいし」

と私の言葉を跳ね除けて

「手伝います」

と言った。
ここで逃げたら見知らぬ人だけでなく友達も捨てたことになる…
私は仕方なく手伝った。
これが悪かった。



大学生なんだからその駅を利用するのは相手にバレている。
ストーカーが始まった。

駅に向かうと必ずその男性がいて声をかけられた。
一度助けてしまったから無下にもできずに会釈だけしたら

「困ってるんだけどなぁー」

と言われた。
友達にも小突かれ仕方なくまた手伝った。

その後も3回待ち伏せされて手伝わされた。
友達に助けを求めたら

「大袈裟だよ、やらない善よりやすい偽善、自分の行動に誇りを持ちなよ」

と言われた。
やがて男性の足は治った。

声をかけられた時、私はこれで関わりが切れると思って男性を無視した。
友達には冷たいとか怒られたけど、

「怪我が治ったんだから行う偽善もないでしょ」

と言ったら、

「えーでもあの人イケメンなのに」

唇をとがらせてた。
友達は気づいてないようだったけど、その時うしろから男性がついてきてた。
駅に用事があるだけかもしれないし、たまたまかもしれないと様子をみてた。

駅では私と友達は路線が違うので別れた。
友達の方についていったら電話で知らせるつもりだったけど、私のほうについてきた。
あくまで男性に気づいていないふりをし、乗る予定だった急行をスルーし、次の普通電車もスルーした。

普通ならそのどちらかに乗るはずなのに男性は乗らなかった。
そして4つめにきた急行に乗るとやはり男性は乗り込んできた。
ラッシュ時だったので人混みに紛れて逃げ出せるかと思ったけど、走れない私には撒くのは無理だった。
3回の乗り換えもしっかりストーキングされた。

『これ、最寄り駅にいったらヤバいんじゃないか』

と思って、途中で親の職場に行くための路線に乗り換えた。
駅に着くなり女子トイレに行くふりをして親に電話、迎えに来てもらった。
男性は改札を出ることなく迎えに来てくれた父親と私をじっと睨んでいたのが車の窓越しに見えた。

ことの経緯を友達に話したけど、困惑しながら口にした言葉は

「イケメンだったし…あんたが何か勘違いさせる行動したんじゃ?」

友達とはそこで関係を切った。
思い返すと関係切ったのが遅すぎたんだと思うけど、男性の待ち伏せが怖くて一緒に帰る人が居なくなるのが嫌で切れなかった。

父親が毎日タクシー代を持たせてくれて、大学の中から最寄り駅の一つ隣の駅まで行き帰りタクシーを利用するようになってから男性とは会っていない。
大学までくるような行動力がない人で良かったと思う。