この季節になると思い出す少しだけ怖い話。
もう10年近く前のクリスマスイブに、アパートの集合ポストにプレゼントが入ってた。

キレイに包装されて可愛いリボンの付いたやつ。
贈り主に心当たりは無い。

『でもきっと、どこかで誰かがオレに惚れてるってコトなのだ』

と思い込んで、ウッキウキで包装紙を開けると、小綺麗な紙袋に入った水色のマフラーとピンクの封筒が出てきた。
とりあえず手紙を読めば相手が分かるだろうと封筒を開けると、可愛らしい便箋にこれまた可愛らしいマルッとした文字が踊っている。
割と長い手紙だったんだけど、要約すると内容はこんな感じ。




———————-
まだ直接話したことはないけど、ずっと〇〇さんの事が好きでした。
〇〇さんへの想いを込めて手編みしたマフラーです。
使ってくれると嬉しいな(ハート)
———————-

とりあえず、オレは『〇〇さん』じゃない。
どうやら、このプレゼントは他の誰かへのモノで、住所か部屋番号を間違えたんだろう。

ガッカリしつつ、さてこのマフラーをどうするべきか?
オレはしばらく悩んで、交番に届けることにした。

翌日、バイトへ行く途中で近所の交番へ寄りマフラーを届けた。
お巡りさんは少し困りつつも、拾得物として引き取ってくれた。

そしてバイトを終えてアパートに戻ってみると、集合ポストに切手の貼られていない茶封筒が一通。
その場で封を切ると、中から

『返せ』

の一言だけが黒のマジックで書き殴られた紙が出てきた。
5分後、オレは集合ポストに張り紙を出した。

『マフラーは交番に届けました。勝手開けてしまって本当にすみませんでした。』

翌朝確認したら、張り紙は乱暴にちぎり取られていたよ。