私の住んでいた町は田舎にあって、それこそ中学校は全学年あわせて14人くらいの人口の少なさだった。
そんな私が学生のころに、口裂け女の噂が広まった。

都会より遅かったのかな?
雑誌で見た記憶はあるけど。
私はそういうの信じないタイプだったし、同級生は皆アホみたいな男子ばっかりだったからいつも一人で帰ってた。

ある大雨の日に、私は急ぎ足で家に帰っていた。
山の中間にある学校まではひたすら田んぼの中の道で、私は日直だったのかな?
とにかく一番最後まで学校に残っていた。

すると、坂を降り切ったところにある電柱についている街灯が壊れているようで、ピカピカと途切れた光を放っていた。
その下をよく見ると、人がたっていた。

女だった。
傘もささずに紫のコートをきていた。

あたりは真っ暗でさすがに気持ち悪かったので、ダッシュで通り過ぎようとした。
すると女が急に私の髪の毛をつかんだ。

あまりに突然の出来事にびっくりして、私は思いきり手をはたいた。
女は私を傍観していた。




とりあえず私は先生を呼びに、学校の方へ再び走った。
学校の玄関は開いていたが、女が入ってくるのが怖かったから自分で閉めた。
職員室にかけこむが、いつもいるはずの先生がいない。

『なんで』

と思い、今度は自分の教室に駆け上がろうとした。
すると一階の窓が割れていた。
アイツが入ってきた。

恐怖が全身を支配していた私は、とっさに近くの保健室に飛び込み、狭い掃除用具入れに隠れた。
しばらくは静かだった。
10分ほど経って、

『もう大丈夫か』

と思った瞬間に足音が聞こえた。
保健室に入ってきた。

私を探している音がする。
その時に女が掃除用具のドアをあけた。

目が合った。
濡れた髪、荒い息が吐かれている口にはマスクがあった。

もうだめだ。
口裂け女に殺される。

直感的に私は目をつぶった。
すると女は私の瞼をガッと開き、眼球を舌でなめた。

あの感覚は忘れない…
痛さと気持ち悪さで視界が悪くなった。

そのあと女は私の服を脱がし、体のいたるところに爪痕をつけた。
私は泣きながら抵抗したが、一度腹を蹴られてからおとなしくなった。

ひととおりの作業が終わると、女は猛ダッシュで何事もなかったかのように部屋を飛び出した。
私はしばらく茫然とし、泣いた後、家に帰って親にこのことを話した。

すぐ町全体の騒動になったが、女は捕まらなかった。
なぜか今でも首のまわりの爪痕だけ消えない…