自分が子供の頃、叔父が浮気をした。
女性関係が荒い叔父で浮気はしょっちゅうだったけど、流石に今回ばかりは自分の母がキレた。
(叔父は母の妹の旦那)

父も叔母をかわいがっていたのでマジギレで、一族集めて「吊るし上げ会」が開かれる事に。
場所は、叔父宅、閑静な田舎町。

で、その時、叔父&叔母の子供達(小学生)に聞かれては教育上宜しくないと自分が子供たちを引き連れて【離れ】(母屋から数十mのところ)に篭る事になっていた。
昼過ぎから始まった吊るし上げ会はなかなか終わらず、夜になっても続いていた。
と、まあココまでが前置きね。

会が長引くもんで、子供たちを寝かしつけてからの事。
深夜(だったと思う)、微妙に喉が渇いたのと微かな物音?に目が覚めて、台所に行った。
途中、物音がしたことを思い出して

『親が来たかな?』

玄関を覗くも、人の気配は無い。
ま、さておき冷蔵庫から炭酸飲料を出し、寝室に戻ろうとした時…また、物音がした。

玄関を覗くと、引き戸が僅かに開いている。
…さっき見たときは、締まっていた筈。




何となく嫌な予感がしつつも閉めなければと引き戸に近づいた。
…玄関も表も明かりは消え、殆ど暗闇。

怖いので下を見ながら戸に手をかけると、開いた戸の隙間に何かが出現した…
…黒い、エナメルのパンプス。
尖ったつま先が、戸を閉められないようにするかのように差し込まれてきた。

ビックリして目を上げると、戸の隙間、たぶん15cm位の隙間から女が覗いていた。
目が合った瞬間、女の目の色が変わった…

でも、その時自分は小坊。
どうしていいかわからないまま硬直していた。

女は合ったままの目を逸らさず、引き戸に手をかけた。
その瞬間、全身に鳥肌が立った。

『何とかしないと、殺される!』

とっさに手に持っていた炭酸飲料(開封済み缶)を「目」めがけてぶちまけた。
悲鳴は無かったけれど、女は後ずさりして戸から離れた…
ので、間髪入れず施錠!

直後にガスっていう音が聞こえたけれど、後は無音。
自分は怖いんで、そのまま玄関で寝た。

翌朝、母の悲鳴でたたき起こされた。
何でも玄関前に特大の「やっとこ」が刺さっていたらしい。

子供たちを起こしに来た母は、やっとこと正体不明の液体が飛び散った後を見て、絶叫したそうだ。
玄関先にいた自分は何があったか問いただされ、起こった事を淡々と報告した。

まぁ、状況を考えるに「女」の正体は……
って事で、吊るし上げは2日目に突入。

ま、今となってはちょっとした「武勇伝」として笑って話せるけれど、本当の恐怖はその「女」=「浮気相手」、今自分が通ってる病院の主治医なんだよね。