新学期になってから、英語担当だったA先生を見なくなった。
夏休み前に授業で英作文をしたのだが、A先生が題材として提示したのは、簡単に要約すると『人の目を見て話せない奴は嘘つきだ』という趣旨の文章だった。
コレ読んだ感想を英語で書けという課題に、クラスメイトのBは

『この文章は視覚障害者を差別している。なお、オレの父は全盲』

と英語で書いて提出した。
A先生は

『障害者差別の意思はなかった』

と注釈して返却したが、点数が10点満点中5点だったので、Bは父親が属している市の障害者団体名義で、教育委員会にA先生を告発。




B本人と俺を含む数人の解答用紙も添えられ、

『他の生徒と比べて内容に劣る解答ではなく、恣意的にBの点数を下げており、障害者の息子だからと明らかに差別している』

との告発で、解答用紙を精査した教育委員会は

「差別意識があったかはともかく、Bの点数は明らかにおかしい」

と認めた。
夏休み中にそんなことがあったと、二学期初日にはすでに全校に知れ渡っていて、A先生はすべての授業から外され、職員室からも席を撤去されて、英語科準備室で朝から放課後まで過ごしているらしい。

Bとは同じ中学で、家も遠くないのだが、実は中学時代にも英作文で『人の目を見て云々』を出されたBは、まったく同じ経緯で当時の英語教師を田舎の学校に追い込んでいる。

これだけなら「懲りねえ連中だぜ」で済む話なのだが、Bの父親が全盲になった理由ってのが、小学生時代のBと親子喧嘩して潰されたから。
自分で潰しておいて最大限に利用するんだから、本当にBは恐ろしい。