ちょっと前に体験した、本当に洒落にならない話。
その日、普通に仕事も終わって、家に帰る道での出来事。

仕事は18時に終って地元の駅まで真っ直ぐ帰り、時間は19時ちょっと前。
季節は冬だったから、もう道は真っ暗。
駅を降りて、右に曲がって、ずうっと歩いて、ちょっとした道を越えて・・・

後は家まで真っ直ぐ200mくらいの道。
俺の家は多摩川の河川敷にすごく近いところだから、川に向かって真っ直ぐ歩いて行くような感じ。

ほんとに普通の住宅街だから、人通りも疎らで、そんなに街灯も無く、かなり暗い道。
と言っても、「何か出そう」「雰囲気がある」みたいな風には、思った事はない。
まぁ、住宅街ですから。

いつも通り、その200m真っ直ぐの道に入ってテクテク歩いていたら、30mくらい前かな?
というところに、傘を差して歩いている女性がいたんです。

暗い道で30m先だとはっきり分からないけど、シルエットはスカートみたいな感じの格好だったし、体も細い線に見えたから、女性だって思ったんです。
そして俺も歩いている。

相手との距離は、特に変わらない。
10m、20m、歩いてもそんな感じで、その女性も、川の方に向かって歩いてるんだな、と思っていました。




暗い夜道でちょっと離れた場所を歩いている人が進んでいる方向って、分からなくないですか?
なので、ちょっと歩いて距離がそんなに変わらなければ同じ方向。
どんどん近づいて来たら自分に向かって歩いて来てる、そんな感じ。

とにかく気にするような事は一つもなかったので、早く家に帰りたかったのもあり、スタスタと歩く。

しばらくすると、その女性にどんどん近づいてきて、シルエットがはっきりと見えてきた。
川の方(先の方)に向かって歩いているようです。
間違いなく。

でも、その女性の歩き方が変に見えて、目を凝らしてよく見たら、明らかにこっちに来ている。
見間違いじゃない。

ええ、後ろ向きに歩いてるんですよ、その女の人・・・
というより・・・
こっちを、いや、俺を見てるような気さえする。

うわぁ・・・
なにこれ・・・
霊感とか全くないし、今までそういう体験も、もちろんした事ない。

幽霊とかは全く信じてないから、頭のおかしい人なのかなぁ・・・
やだなぁ・・・
こえぇなぁ・・・
叫びながら走ってきたら、殴ってもいいのかなぁ・・・
でもいくらキチガイでも殴ったら捕まるかなぁ・・・

玄関の辺りで方向転換して、向かおうとしていたんです。
そんなくだらない事を考えていたら、(この辺りで女性を抜く)家の前の少し手前くらいまで来たのでほっとして、いつもは斜めに滑り込むように家の玄関に向かうけど、ちょっとその女性から目が離せなかったし、自分でもどういう気持ちだったのか分からないけど、家の玄関の真横まで来て、ビシっと踵を返して、、、

と次の瞬間、後ろ向きに歩いていたその女性が、普通に歩き始めたんです。
こっちを向きながら、普通に歩いてる・・・。
そう、俺の方に向かって歩いて来たんです。

俺は既に右手に用意していた鍵を慌てて鍵穴に差し込んで、素早く家に入り、今まで一度も使った事のないドアチェーンを

「ガチャガチャ」

と、おぼつかない手つきでドアに掛けて・・・
とりあえず怖かったから外も見なかったし、家の明かりも点けないでしばらくジっとしてたんだけど、真っ暗な家の中でジっとしてるのも何か怖くなってきたので、普通にテレビをつけたら、気持ちも落ち着きました。

たったそれだけのお話しですが、雨も降ってない夜なのに、傘を差して後ろ向きに歩く女とか、やっぱり怖いですよね・・・