先日バス停に並んでいた時の事。
バスが来た時、先頭に並んでいた品の良い優しそうな50歳くらいのおばさんが、

「わたしは段差が苦手で乗るのに時間がかかるので、お先にどうぞ」

と言って後ろに並んでいた人全員を先に乗せ、自分は最後に乗車した。
私は

「押し退けて乗るような輩もいるのに良い人だなあ」

とおばさんに好感を持った。
車内はガラガラだったので全員座れた。
そのおばさんは私の前の席に座ったのだが、座る時に微笑みながら会釈してくれて、増々感じの良い人だな、と思った。




バスの終着点(駅前なので全員がそこで降りる)に着いた時、そのおばさんはまっ先に降りようとして人を押し退けて進んだので

「乗る時は乗客がスムーズに乗れるよう配慮してくれたのになんで?急いでいるのかな?」

と、乗客全員が見守る中、運転手の横でおばさんはバッグやポケットをごそごそし始めた。

「あれ~、ないわあ、おかしいなあ、どうしてかなあ、ないわあ…」

と言いながらごそごそ。
運転手に

「お金がないみたいなのよ…どうしたらいいかなあ」

と笑顔で尋ね、こちらを振り向いて

「ねえ、貸してくれない?」

と言った。
驚いて皆無言でいたら、更に

「ねえ、そこの紺のコートのあなた、小銭余ってるでしょう?」

と私を指名してきた。
その瞬間バスの運転手さんが

「あんたねえ、この子は関係ないでしょうが!!いつもいつもいい加減にしなさい!お金ないんやったらわたしに住所と電話番号!身分証明書!」

とおばさんを怒鳴りつけた。
するとおばさんはバッグをごそごそして、

「あ、あったあった!ありましたわ~、ホホホ」

と笑ってお金を払い足早に去って行きました。
降りた後も目で追ってたら『段差が苦手』とは思えない足取りで駅の階段を登っていた。

いかにもな外見だったら最初から警戒するけど小奇麗でむしろ上品な装いと物腰のおばさんだったので本当に驚いた。
そして自分がいかに人を外見で判断しているかがわかった。