私が小学生のときの話です。
そのおじいさんは近所に住んでいる人で、そのあたりに住んでいる人だったら、誰でも知っているような人でした。
会うといつも挨拶してくれましたし、穏やかな人でした。
散歩しているのをよく見かけましたね。
ですがある日、物凄く怒っているのを目にしてしまったのです。
どうしたのかと思ったら、ポイ捨てしていた人を叱っていたのでした。
それは捨てた人が悪いと思い、その場を通り過ぎたのですが、翌日以降、そのおじいさんは豹変してしまったのです。
歩いていく人を、ずっと睨み付けるように歩いているではありませんか。
きっと、誰かポイ捨てしないか見張っているのだろうなと思っていたら、急に怒鳴り声が聞こえました。
しかも、それは私に向けられたものでした。
今ポイ捨てしただろと怒鳴られたのですが、私は何も捨てていませんし、
もしかしたら何かポケットから落ちたのかなと思ったのですが、そもそもその日の服にポケットはありませんでした。
それに、私の周りには何も落ちていないのです。
そのことを伝えてもおじいさんは納得してくれません。
落としていない、いいや落としたの繰り返しです。
ですが、落としていないことは一目瞭然です。
私は困って泣きたくなってしまいました。
そこにおじいさんの娘さんがやってきて、私に謝ったのです。
そして、引きずるようにしておじいさんと一緒に帰って行きました。
その日から、おじいさんをあまり見かけなくなりました。
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