私が働いていた病院では、投書箱が設置されています。
その投書箱の中身は定期的に開けられているのですが、実に色々なことが書かれています。
ほとんどの場合は良いという内容について書かれていることが多くなっていますが、中には改善をして欲しいといった意見も入れられている事があります。

その具体的な内容については、その施設のことだったり、そこで働くスタッフの態度などによるものがあったりするのです。
スタッフに対する不満の内容だった場合は、そのスタッフの上司に投書が知らされて、その後に本人が呼ばれ厳重注意が行われます。
そのことから、その投書箱の中身についての話があるといった時には、いつも自分のことでないだろうかとビクビクしているのです。

そして不思議なことに、よい投書だと噂になることはほとんどないのですが、悪いものとなると何故かすぐに知れ渡るので恐ろしいものです。




あるときの投書について、びっくりした出来事がありました。
それは患者さんからとても人気のある医師なのに、悪い投書が投稿されていたのです。
具体的な内容については知らないのですが、かなり長い文章で書かれてあったとのことでした。

しかしその投書はおかしいと思うところがあったらしいです。
まず、専門的な内容が書かれていたという点です。
もちろん患者さんの中には医師であったり看護師であったりと、医療関係者も受診をすることが当然あります。
それらの関係者が投書をする事も考えられるのです。

ですがさらにその投書は、かなり具体的に書かれていることで疑問点があるというのを、風の噂で知ることがありました。

投書をされた医師は思い当たることがなかったようですが、結局上司に呼ばれて注意を受けたようでした。
その後、その医師は別の病院に転勤となりました。
投書がその転勤の理由の一つになっているのではないかと言われるほど、その医師自身も精神的にこたえている感じがありました。

しかししばらくしてから、実はその投書が同じ部署で働いていた医師が書いたものだという噂が知れ渡ります。
その2人の医師はあまり仲がうまくいってなかったことが原因のようでした。

医師の間ではドロドロとしたものが流れていると聞いたことがあります。
今回のケースは、まさにそのドロドロを目の当たりにする出来事でした。

それにしても、いくら仲が悪いからと言ってこのような手段を実行してしまった医師も恐ろしいですが、その投書が原因で被害を被った医師も、なんだか気の毒な話でした。
「人を呪わば穴二つ」という言葉通り、結局2人とも不幸になってしまったのですから。