マイホームを建てて引越しを終え、ご挨拶のご近所回りをした時に隣家の奥さんが

「お隣さんが同世代で嬉しいわ」

と歓迎してくれた。

「仲良くしてくださいね」

とか言われて、その時点ではおかしな人だとは思わなかった。




お互い犬を飼っていたので、散歩途中に会ったりすると少し立ち話をする程度には仲良くなった頃なんの脈略もなく突然Aさんに

「今度あなたの家のデッキでBBQやりましょうよ」

と言われた。

表からは植木等でよく見えないけど、我が家にはウッドデッキを設置してある。
ちょっとお茶が出来る程度には広くてテーブルも置いてある。
でも本当の設置目的は、たまに遊びにくる義母が車椅子で玄関からは入れないのでウッドデッキにスロープを取り付け、そこからリビングに入ってもらう造りにしてあるんだ。

回覧板持ってきたときにデッキがあるのは見えるけど、互いの家に行き来したこともまだなかったのに何故急に「うちでやりませんか?」ではなく「あなたの家でやりましょう」になるのか。

「ごめんね、うちの旦那あんまりそういう付き合い好きじゃなくて。それにBBQの道具とかうちにはないから」

って断った。
そしたら

「大丈夫よ。家族ぐるみでってんじゃなくて私も友達呼ぶからあなたも呼べばいいし。BBQセットなら誰か持ってるわよ」

って言われて益々???。
今後の付き合いもあるし、ここは快く場所を提供した方がいいのかなとも思ったけどその一方で身体の中から「要注意人物!要注意人物!」とサイレンがガンガン鳴ってた。

「ごめんね、悪いけどうちでは無理だわ。どこかキャンプ場でも行きませんか?」

と断った。
それから暫くして、友人が遊びにきて天気が良かったのでデッキでお茶してたんだ。
そしたら次の日に犬の散歩に出たら待ち構えていたように出てきて

「昨日デッキでお茶会してたでしょ?ああいうのやりましょうよ!」

と言ってきた。
だから何故うちでやること前提なのよって少しイラッとした。
それにいちいちこちらの様子を伺ってるのかと思ってそれも嫌な気分だった。
適当な理由をつけて断り、犬の散歩は暫く車で緑地公園に行くことにしてなるべく顔を合わさないようにした。
それでもたまにバッタリってこともあったけど、挨拶もそこそこに

「急いでるので!」

とかわし続けた。

それから半年ほど経っただろうか、ふと気が付くと最近Aさんを全然見かけないなーと思ったけどまぁ見かけるよりはいいかと気にしてなかったが少し離れたお宅の奥さんと仲良くなり、思い出したように最近Aさんみないねって話したら、驚いたことに元々Aさんはあの家の住人ではなかったんだ。

あの家の旦那さんはずいぶん年配の方で、奥さんの長期入院中に愛人だったAさんを家に連れ込んだら退院してきた奥さんにバレて、奥さんが出て行ってAさんが棲みついてしまったそうだ。

なんだかよく分かんないけどそれでずっと揉めてて、最近見なくなったのは何かしらカタがついて出て行ったんだろうとの事で、今は貸家になってるらしい。
いなくなったのは嬉しいけど、一度そんな目にあったら今度どんな人が入ってくるのか怖くてたまんない。