ストーカー被害に悩んでいる女の子の相談にのった。
26歳独身。
女の子って歳でもないな。
外見が若いって言うか幼い。

若作りしてるのとはまた違う。
何ていうか……何処か現実を生きていないようなところがあって、夢想家なんだろうな、生活臭がしない。




でも、悪い奴じゃない。
何時もニコニコしていて教養も高い。

「疲れていた。其れが甘えとなって表に出て、相手を誤解させた」

女の子言い分はそんな感じ。
相手の男は三十代半ばのサラリーマン。
解決策として俺が彼氏役になって相手の男を諦めさせる作戦開始。
彼女の家に行って、雑談して、相手の男から電話来た。

「こいつの彼氏だけどあんた誰?」

こんな感じで話した。

「か、彼氏?彼氏って俺が彼氏じゃないの?」

状況は二股って事になるのか?
まぁ、適当に話を作って誤魔化す。
彼女の事愛してるのなら、もう少しゆっくりしたペースで付き合えないのか?
とか、何でお前と会うのを拒否するか考えた事ある?
尤もらしい話で相手を相手を追い詰める。

突然現れた「彼氏」に動揺し、あまつさえその男から喧嘩腰ではなく理尽くめで説教食らうのだから勝てるわけが無い。
それ以前に俺は最初から第三者的視点。
男の気持ちも汲みつつ話を進めた。

「判った。あんたの方が彼女を幸せにしてやれるみたいだ。」

コイツ自分に酔ってやがるw

「俺は身を引く。最後に一つだけ……」
「彼女と会いたいとか無しな」
「違うよ。あんたにアドバイスがある」

まぁ、自分のプライド保ちつつ幕引きたいのだろう。

「病院に連れて行ってやってくれ」

其れだけ言って切れた。

俺に対する嫌味?
それとも彼女に対する中傷?
何にしても意味深な捨て台詞だなぁと思った。

手元にあるのは彼女の携帯。
彼女は俺に礼を言ってる。
有り難う。
コレでカレも少しは私の事諦めてくれるはず。
相手の男から来たメールとか見ればもっと事情が判る筈。

「何か飲む?」
「コーヒー」

サイフォン。
二、三分かかると彼女が言う。
好奇心に負けた。

「俺の携帯にメール送って良い?」
「良いけど何で?」
「メアド知らん」
「えー?メール送ってくれてたでしょ?」
「電話番号で送ってた。メアドは知らんぞ」

自分の携帯を弄ってメールを送ろうとする彼女。

「空メールはやめろ。俺が書くからよこせ」
「はいはい。」

俺に携帯を渡し凝っと見つめる。
ちっ。
コーヒー淹れに行かねーのか。
作戦変更。

メールに「愛」と打つ。
予測変換「愛してるのに」→「どうして」→「死ねばいいと」→「思ってる」→「博」

「博」と打つ。
予測変換「博さんの」→「名前を」→「書いて」→「釘」

「釘」と打つ。
予測変換「釘打ったの」→「テレビの前で」→「死ねばいい」→「ザーッてなってる」

「愛してるのにどうして死ねばいいと思ってる 博さんの名前を書いて釘 釘打ったのテレビの前で死ねばいいザーッてなってる」

家に帰ってチョイと考えてみた。

「愛してるのにどうして?死ねばいいと思ってる?博さんの名前を書いて釘。釘打ったのテレビの前で、死ねばいい?ザーッて鳴ってる(テレビが?)」

男は電話口で俺にこう言った。

「病院に連れて行ってやってくれ」

少し前に彼女からメールが来た。

「ありがとう。助かった。今度お礼したいから会って欲しいな。」

彼女が何をしていたのか知りたい。
好奇心に負けそうな自分が怖い。